Yes!腐漢ライブラリー

濃いめのBL漫画やBL小説などの感想を色々と。ガチッとムチっとが大好物な大人向けです。(+BLアラブもの小説読破中)

愛と憎しみの迷宮(山藍紫姫子)-アラブもの小説(059)

[ 2009/10/14 00:00 ] TB(0) | CM(2)
灼熱のアラブ100 ~アラブ・フェア開催中~

BLアラブもの小説(砂漠もの)59冊目。

アラブものリストから漏れていた作品です。本屋で見つけたときには「山藍さんも書いていたのかっ!」と思わず声が出てしまうほどの大興奮ぶりでした。それもそのはず。

 1987年「冬の星座」自費出版→1992年・1995年「冬の星座」出版→1999年タイトル改訂「愛と憎しみの迷宮」出版

「アレキサンドライト」や「虹の麗人」(どちらも山藍紫姫子・著)は、近年でも新装版が出版されているので入手しやすい作品なのですが、いくら新装版が出ていても直近の出版が10年以上も前になってしまうと、本の存在自体を確認するのが難しくなってきます。『バニラ新書』。うーん、そういえばそんなレーベルも……

先に注意事項を。砂楼の花嫁(遠野春日)の設定がダメな方は、「愛と憎しみの迷宮」はもっと最強にダメだと思われます。(先天的後天的な違いはかなり大きいかと)
新書サイズ、2段組で上下巻合わせて300ページの大作アラブものです。痛くて辛くて精神的にもダメージを受けること必至。私としてはかなり面白かったし大好きな作品になりましたが、他人様には一切オススメいたしません。

まぁ。山藍紫姫子作品ですので、その辺りは察してください!(笑)


愛と憎しみの迷宮(上)
4877343024
愛と憎しみの迷宮(下)
4877343032

■愛と憎しみの迷宮
著者:山藍紫姫子
イラスト:紅井採乃
発行日:コアマガジン(バニラ新書)
装丁:新書
発行日:上下巻とも 1999.12.10
ジャンル:現代
攻:王族 25歳
受:没落貴族の長子 25歳
収録:「愛と憎しみの迷宮」(その他収録作品については割愛)

▼▼▼ …「愛と憎しみの迷宮」の感想を読む
 
■アラブさまチェック!
 アラブの石油王で王位継承権第3位。漆黒の髪に金色の眸。褐色の肌でギリシャ彫刻のように整った美丈夫です。

■くどすぎる注意事項
『両性具有伝説』とうたっている本作ですが(勝手に出版社が付けたコピーだと思いますけど)、これには真っ向から異議をとなえたい。この作品で使われている「両性具有」とは、『上半身・男で下半身・女』という意味合いです。そう、下は「どちらも付いている」訳ではなく、「取って新たに作ってしまった」んですよ・・・そして上は(他の男と)浮気しないように、何もいじらない(豊胸手術しない)という罰を。意味合いが真っ向から対立していますよと言っていいくらいの大きな違いですよね。
この設定で相当数の御仁がふるいにかけられて脱落するのではなかろうかと。手術後に取り乱してしまうシーンやその後のアレコレ痛げな部分もじわじわ書かれているので、相当きついかもしれません。(それに輪をかける酷い仕打ちの数々。オオオ…
この高すぎるハードルさえよじ登ることができれば、まれに見る「アラブもの愛憎劇場」がたっぷりと堪能できること間違いなしなのですが……

■感想
名門寄宿学校の同級生だったアイシスとカルロス。「冷酷な雪の女王」と呼ばれていたアイシスに何故か執拗なまでの憎しみを抱くカルロスが、アイシスの家庭事情に漬け込んで強奪するという部分からお話は始まります。そして即、例の手術を・・・回復したところで有無を言わさず結婚と、怒濤の展開が次々と襲いかかってくるの何のって。
カルロスのアイシスに対する仕打ちが酷すぎて泣けてきます。「何もそこまで…」と上巻を読むだけでお腹いっぱい精一杯になってしまいました。無理矢理に躰を繋げるというのは序の口、遺物挿入有りの、「カルロス婦人」になった姿で義理兄に合わせたり、平然と自分の愛人に紹介したりと、これでもか!というダメージをアイシスに与えるカルロス。その暴挙が愛から来るのか憎しみから湧き出るものなのかも見当がつきません。
心身共に打ちのめされながらも、大芝居を打ってなんとか反撃に出ようとするアイシスですが、それさえもカルロスに読まれていて更なる罰を受けたりと、まさに「ザ・愛憎劇」がとんでもなく繰り広げられます。

これほどまでに傲慢で嫌味な奴であるカルロスですが、とある事件(結構な大事件)をきっかけに彼の心の闇が徐々に明かされます。アイシスも次第に芽生えてくる自分の中の言いようのない感情に戸惑い、カルロスに対してどう接してよいのか苦悶し、酒に頼る日々が続いたり。

物語の着地点が読めないほどワクワクして恐ろしいものはない訳でして、下巻に至っては「ギャー、一体どうなるの~!」と悲鳴を上げながらの恐怖の読書タイムとなってしまいました。
前半はアイシスの不幸ばかりが際立っているのですが、後半でカルロスに天罰(うん、天罰だな)が下ると急転直下、気づくと「アイシス、カルロスと何とか上手くコミュニケーションを!」と、なぜかカルロス派に転身してしまうのが自分でも不思議です(笑)
最後の最後まで2人がどうなるかハラハラし通しで、「あっ…コンチクショー!」と驚かされるラストを読み終えた時は、思わず「とりあえずよかった!おめでとう!」と涙ながらの拍手喝采。
山藍作品なので当然「痛くて激しい」のですが、精神的な「歯がゆさ・息苦しさ」がたまらないんですよねぇ~「痛くて激しい」部分よりも、2人の繋がりがどう変化するのかという部分に惹かれます。

アラブものスキーな方にも、それ以外の方にもゼヒ読んで欲しい1作となりましたが、「アレキサンドライト」よりも数十倍ハードな作品だったので、自信を持ってオススメできないのが辛いです。
『食わず嫌いは…』と言ってみたいのですが、やっぱり嫌いなものは無理しない方が身体にも優しいと思います。

■コメント
で、ここまで書いて今さらですが、「BLアラブもの小説」に入れても大丈夫な作品だったのかな……
BL……いや、耽美だよなぁ(笑)

とても濃厚なアラブものを堪能しました!暫しこの満足状態が続くといいなぁ。
しかし、久々に読み疲れました。下巻はほぼ速読状態でページを捲っていたような気が。(改めて読み直しましたが)

本作品はれっきとした「アラブもの」なのですが、作者あとがきを読む限り「担当にごり押しされて」アラブものになったみたいです。「あれ?これってアラブものだったの?じゃあちょっと設定変えてみるわ」という感じでしょうか?
確かにカルロスはアラブの王族という設定ですが、舞台の大半を占めているのはカルロスが所有している南の島ですし、王位継承問題はアラブじゃなくても成立しますしね。

下巻に掲載されている小林智美さんの「冬の星座」版挿絵がステキなので、ハードカバー版も欲しくなってしまいました。
……復刻版を発売してくれないかなぁ。

※上下巻の作品ですが、ナンバリングは59とひとつにまとめました。


■愛と憎しみの迷宮 あらすじ

<上巻>
敬虔なクリスチャンで、誇り高き没落貴族アイシス(25)。ある日、元学友で、石油王のアラブの王子カルロスに南の島の宮殿に招かれる。そこでアイシスは信じられない目にあう。薬で体をしびれさせられ、まだ清らかだった体をムリヤリ汚されたのだ。しかも「僕よりいつもイイ点をとる君を憎んでいたよ。君のプライドをメチャメチャにしてやりたい。だから、君を僕の妻にする」と囁かれ…!?『冬の星座』増補改訂決定版!!他、単行本未収録作品『深い森の虜囚』も収録!


<下巻>
アラブの王子カルロスの罠にハマり、男の身でありながらムリヤリ正妻の座につかされた誇り高き貴族アイシス。さらに、「君が他の男と寝ないように」上半身は男のまま、下半身だけ女にされ…!?『冬の星座』増補改訂決定版!!他、単行本未収録作品『ディナーには僕を…』、『麗人たちの宴』小林智美画展&『妖艶なまなざし』四谷シモーヌコレクションも収録!




当然……な作品です。
アレキサンドライト (角川文庫)
4043702035

イリス 虹の麗人
4776792656

■今までのアラブ・フェア本はこちら。→BLアラブもの小説全部読むよ! ~アラブ・フェア開催中~
 
[タグ : アラブ 山藍紫姫子 ]
■カテゴリ : アラブ・フェア
こんにちはー。
先日はこちらのブログにリンクしておきながら報告もせずすみませんでした。

アラブもの開拓(?)は着々と進行されているようで…。
でも、山藍さんも書かれていたなんて、びっくりしました。なんかまあ、レビューを読んでいると、「カルロス」って名前をはじめ、あんまりアラブアラブな雰囲気でもないのかもしれませんが…。
しかし辛すぎな感じで、読めそうにありません……いや、4daさんのレビューですでにおなかいっぱいです……!
[ 2009/10/14 13:30 ]
>lucindaさま
山藍さんの作品はどれをとっても「ガチンコ勝負」を挑まれているような気がして、つい力が入っちゃいます。今回は何度ノックアウトされそうになったことやら…
まずは「アレキサンドライト」あたりからいかがでしょうか?この作品に比べれば、かーなりソフトですし、何といっても「ロマンス小説」ですから!(どうしてもオススメしたいらしい)

アラブもの開拓は、すでに先駆者が数名いらっしゃいまして「読み終わったよor(私より)読んでるよ」との報告を受けております。負けじと必死になって読んでますが、無事にゴールにたどり着けるのか私が一番不安です(笑)
[ 2009/10/14 20:49 ] [ 編集 ]
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